食物繊維

腸内細菌量を増やすなど重要な機能を持つ食物繊維

食物繊維とは、ヒトでは消化・吸収されない食物成分のことです。消化・吸収されないため、以前は不要なものと考えられていましたが、近年、重要な生理活性作用を持つことが明らかになってきました。食物繊維には、次のような機能が消化管の中で発揮されることにより、生理作用が現れると考えられます。
・保水性:腸管を通る食物の体積を増やすため、栄養素の吸収を遅くします。
・粘性:胃の内容物が通る速度を遅くします。
・発酵性:腸内細菌により発酵を受けやすくし、腸内細菌量を増やします。
・胆汁酸結合:胆汁酸と結合しやすく、胆汁の排泄を促します。
・陽イオン交換:鉄、カルシウム、銅、亜鉛などのミネラルと結合しやすくします。

高脂血症や糖尿病、大腸がん予防に効果

食物繊維が多く含まれる植物性食品にはビタミン・ミネラル類も多く、しかも低脂肪、低コレステロールであることから、相乗効果も期待でき、生活習慣病であるメタボリックシンドロームの予防効果が高まると考えられます。
・循環器系疾患:食物繊維の粘性によりコレステロールの吸収を低下させ、胆汁酸と結合することによりコレステロールなど脂肪の排泄を促し、高脂血症を防ぎます。
・糖尿病:食物繊維の粘性により、食べた物が胃からゆっくり移動し、栄養素の消化・吸収が遅くなります。そのため、食後の急激な血糖値の上昇が起こりにくく、血糖値を調節するインスリンの分泌も抑えられます(図1)。
・がん:食物繊維の発酵性により腸の善玉菌(ビフィズス菌など)を育て、腸内環境を整えます。また、保水性により排便が促進され便秘を防ぎ、発がん物質などの有害物質の排泄も促進し、大腸がん予防も期待できます。

野菜や果物、穀類、海藻類などが食物繊維を多く含む

食物繊維は、野菜、穀類、イモ類、豆類の筋や皮など、噛(か)んでいて残りやすくいかにも消化しにくそうな不溶性の食物繊維と、果物や海藻類など、舌触りだけではわかりにくい水溶性の食物繊維とがあります。
穀類は食物繊維を多く含む食品ですが、精白米や小麦粉などに精製されることでビタミン、ミネラル類と共に食物繊維は失われてしまいます。また、現代人の野菜の摂取量は減少傾向にあり、10人中8~9人は不足しているのではないかと心配されます。生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防のためには、食物繊維を1日20~25gを目標に積極的に摂取することが望まれます。